今回のオフィス取材は、タカコ―さんにやってきました!
50か国以上のスタッフを抱える、とてもグローバルな会社さんです。
2019年に完成した埼玉県蓮田市にある、埼玉テクニカルセンターを訪問しました。編集部の佐々木がお届けします。
代表取締役の早坂泰山様(埼玉テクニカルセンターにて)
何をされている会社ですか?
弊社は1992年5月に創業した、主事業として人材派遣を行っている会社です。
本社は栃木県小山市にありまして、その他に東京オフィス、埼玉テクニカルセンター、伊勢崎営業所、日立営業所など、北関東を中心に事業を展開しています。
働きたいと希望する全ての人に対して、年齢、性別、国籍などに関わらず、その方に合う仕事をご紹介できる人材派遣会社を目指しています。
「求人広告を使わなくても人が集まる企業」とありますが、その秘訣をおしえてもらえますか?
弊社の従業員は、中南米やアジア圏を中心に50か国以上と、外国籍の方がとても多いです。
それは創業前にさかのぼりますが、弊社の会長がボランティアで外国籍の方に仕事を紹介していたということがあり、それが創業のきっかけにもなっています。
外国籍の方というのは、横のつながりがとても強く、それを大切にしています。
そうゆうこともあり、口コミや人と人とのつながりで、“人が集まってくる”、という事実もあるかと思います。
それだけでなく、私たちがいつも大切にしていることがあります。
弊社の派遣スタッフを活用してくださる企業様だけがお客様ではなくて、派遣先で働いてくださるスタッフさんも、お客様と捉えていることです。
スタッフさんのフォローや管理は営業が担当するのですが、お客様という認識で日々対応しております。スタッフさんが困っていることや、悩み相談などに対して、高い意識を持ってすぐに解決できるように日々努めています。
また、タカコーでは、良い仕事をするには”良い生活基盤”が重要と考えています。
生活基盤がしっかりと確立できていない方も、世の中にたくさんいらっしゃいます。
そういった方々がタカコーでお仕事を紹介してほしいと希望してくださったときに、仕事を提供することは、もちろん派遣会社の本来のサービスですが、先ずは生活基盤の提供をすることを基本として考えております。
「生活基盤がしっかりする状況を作った上で、きちっとお仕事をする」というスタイルをサービスの根幹においております。
そのような背景もあり、口コミを通してスタッフさんからご紹介をいただくなど、たくさんの人が集まってくれる、広告を出さずに人材の確保ができている、というのが今の状況です。
栃木県小山市にある本社のオフィス。
2018年3月に開設した、渋谷区恵比寿にある東京オフィス。
エンジニアやオフィスワーク系の派遣事業の拠点になっている。
人材業界を取り巻く現状についておしえてください。
派遣会社としての使命は何かというと、2つあります。
「人材不足で困っている企業様に、必要な人材を提供する」というのと「仕事をしたいという方に対して、その方が希望する仕事を提供する」というのが我々の使命であり、基本であり、重要なポイントだと思っています。
ただ、今の日本の課題はというと、ここ40年ほどの間で、かつてないほどの労働力不足であり、有効求人倍率も1.6倍と、深刻な人手不足となっています。
そのような状況だと、国内の人口が増えない限り、問題は解消されないと思ってしまいますが、すでに人口減少社会へと突入しています。
そこで、労働力不足を解消する大きな2つの柱となる政策があります。
ひとつはITを活用した生産性向上。今まで人間がやっていたことをAIやIoT活用、もしくは機械(ロボット)を使って労働力不足を補っていこう、という対応策。もうひとつは、海外の人材をもっと日本へ呼んで働いてもらうこと。
この大きな2つの政策が、国の方針として出ています。
一般的な派遣事業でいえばですが、国内にいる外国籍の方や日本人の方だけを集めて企業様へ派遣しても、日本が抱える労働力不足は根本的に何も解決しないと思っています。
労働力不足を解決するためには、やはり海外から人材を連れて来なければいけないのですが、この国は海外から人材を連れてくることが、とてもハードルが高いのが現状です。
我々みたいな企業の立場からすれば「人材の情報」が、外国の人材の方からすれば「日本企業の仕事の情報」が、それらをお互いに情報共有ができないという問題があるのですが、実際に情報共有ができたからといって、日本に来たときに働けるかというと、日本はVISAの規制がとにかく厳しく、やはりハードルがとても高いのです。
それでも、色々な問題をクリアして、外国の人材を連れて来ないと日本の労働人口は増えません。
そのような状況下で、我々のような約30年間ほど外国人労働者に携わる事業を営んできた会社が、しっかりと対応していくことが重要だと考えます。
実際それができる会社が、国内にそこまで多くないのが現状です。
タカコーとしては、それを高いレベルで、且つしっかりと仕組みが整ったビジネスモデルをこれから確立していくことがとても重要だと考えております。
それが日本の労働力不足という問題に対して、我々として貢献できることだと思うので、しっかりとやっていかなければいけないと思っています。
代表の早坂様はタカコ―ホールディングス(株)の代表取締役も兼務されている。
グループ内には、外国人技能実習生の受け入れ機関である協同組合もあり、タカコ―含めてグループ企業は8社存在する。
高校卒業後、南米のパラグアイのサッカーリーグに在籍していた。その後、20歳でチリの大学に入学し、大学で4年間勉強をした。アメリカにも渡り、大学に2年間通いながら、通訳の仕事もされていた、異色の経歴の持主。合計で8年間、海外に滞在された経験を持つ。
オフィスのコンセプトやこだわった点はありますか?
こちらの埼玉テクニカルセンターは、IT事業としてのシステム開発や受託をメインで行う拠点にしたいと思い、2019年8月に開設しました。
オフィスのコンセプトは、「廃墟にすくうITギャング達」です。
エイジングされたトタンの壁。
つぎはぎレンガの柱。コンクリートむき出しの床スラブ。
廃墟感がただようオフィスになっている。
床はコンクリートがむき出しになっていたり、柱はレンガが“つぎはぎ”になっていたり、壁面のトタンなんかも錆びをイメージしてエイジング塗装を施したりなど、“廃墟”をイメージして作りました。
床はOAフロアではなく、コンクリートのむき出しを採用した。
コードや好きな言葉が多言語で書かれている。
実は、今回はデザイン会社を入れていなくて、全部自分たちでデザインをして、プランニングをしました。
「お金をかけないで、いかにオシャレなオフィスをどうやったら作れるか?」と考えたときに、“廃墟っぽい”イメージにすれば、そんなにキレイにする必要もないし、手間もコストもかからないのでは、と考えた結果です。
例えば、柱のレンガも全部貼ってしまうとお金がかかってしまいます。
今回は廃墟がイメージなので、レンガを全部貼らずにつぎはぎにしようと、そうすることでコストがかなり抑えられました。
また、壁のトタンも自分たちで塗装しました。
コスト削減のため、デザイン会社は入れずに、自分たちでデザインを考えた。
現場に入り、工務店の職人さんと打ち合わせをしながら、仕上げを決めていった。
オフィスの一部分には、カフェっぽい空間も設けました。廃墟の中でも“ギャング達の憩いの場所”が必要と思い、少しでも雰囲気を出せるように工夫しました。
お金をかけるところ、お金をかけないところ、自分たちで工夫しながら色々と考えて、作っていきました。
ガラス張りの会議室とオープンスペースの間に、カフェスペースを設けている。
奥の壁面には、各国の時間を指す丸時計が設置してある。
会議室のみ、廃墟のイメージというより、洗練されてとてもキレイに仕上げました。
理由は、「ITギャングの幹部達が使う部屋」というコンセプトで会議室を作ったので、床はカーペットが敷いてあり、壁も崩れてなく、全面ガラス張りとなっています。
ガラス張りはとても高いので、少しでもコストを抑えたいと思い、色々なパーテーションのメーカーに見積もりをとったりもしました。
ガラスのパーテーションに囲われた、会議室。コンセプトは「ITギャングの幹部達が使う部屋」。
床はカーペットが敷いてあり、天井の色も違う。
将来の展望をおしえてください!
我々の将来の展望は、「優秀な海外の人材を日本にたくさん呼ぶ仕組みを作る」こと。
そして、日本に来てくれた外国の方々のために、「日本で安心して働ける環境を作る」ことです。
また、人材を受け入れる側に関しても、「安心して迎え入れられるような環境を作る」、というところまで、我々はしっかりと形にしなければいけないと思っています。
そこがクリアできれば、タカコーという会社は、これからももっと発展しますし、色々な企業様や日本や外国の人材の方々から、しっかりと需要があると思っています。
そしてそれが結果として、日本経済や地域貢献、または労働力不足の解消に役立つことができるのでは、とも思っています。
また、我々はグループ企業が8社ありますが、今後チャンスがあれば、点と点が線につながるような事業には、挑戦したいと思っています。
なぜかというと、新しい事業や会社を作るということは、収入源を多岐に持つことになるので、経営的なリスク分散になるというのもあります。また、すごく重要なのは、グループ内の企業が増えたり、組織や事業が増えると、責任職や管理職も自ずと増えるので、社内でチャンスができて、会社やグループが活性化することだと思っています。
そのような活性化された環境になれば、人材は育ちますし、点と点が線になった瞬間というのは、会社も強くなるだけでなく、組織やグループとしての厚みも生まれます。
その時に私も含めて、そこに所属する人たちが、どんな風に変化していくのかを見ることが、個人的にも好きですし、とても興味関心があります。
会社として、点と点が線につながるような事業は、チャンスがあれば常にチャレンジしたいと思っています。
インタビューを終えて
コストとデザインの天秤のバランス、お金をかけるところ、かけないところのメリハリ。現場に入り、自分たちで塗装したトタン壁。
埼玉テクニカルセンターは、自分たちの想いがとても詰まっていて、デザイン会社に依頼してないとは思えないほど、お洒落なオフィスでした。
また、コストを圧縮する中でも、カフェスペースのような”リラックスできる共有部”を設けることは大切なことだと、再認識させてもらいました。
カフェスペースの配置も、奥まった端っこではなく、会議室と執務スペースを挟んだ中央に配置しているところが、オフィスを行き来する中で、とても自然に感じました。
オフィスづくりに予算を費やせないスタートアップは、世の中にたくさん存在しているはずです。
タカコ―さんのように、”自分たちで節約しながら工夫して作っていく”という観点で、お洒落なオフィスづくりに挑戦する会社が増えていけば、個性あふれるオフィス空間がもっと増えてくる気がします。
社名 | タカコー株式会社 |
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住所 | 栃木県小山市城東4丁目19-31 |
URL | https://jobtkk.co.jp/corp/ |
TEL | 0120-107-769 |